交通事故で「全損です」と言われると、
「もう車は直せないってこと?」
と思ってしまうかもしれません。
でも、交通事故でいう「全損」には、修理そのものができない場合だけでなく、修理はできても“全損”になる場合があります。
読者さん全損って、車が完全に壊れたときのことじゃないんですか?



そうとは限りません。修理できる状態でも、修理費と車の価値によって“全損”になることがあります。
この記事で説明する「全損」について
この記事では、事故相手から損害賠償を受ける場合の「全損」について説明します。
自分の車両保険でいう「全損」は考え方が異なります。 車両保険については別の記事で詳しく解説します。
交通事故の損害賠償でいう「全損」とは?
全損には、修理そのものができない場合だけでなく、修理はできても修理費が車の価値を上回る場合があります。
全損=必ず車が修理不能、ではありません。
損害賠償における全損には、大きく分けると
「経済的全損」と、「修理することができない全損」があります。
全損には大きく2つある
① 修理できるけれど「経済的全損」
これは、修理費が車の時価額を上回るケースです。
たとえば、
時価額30万円
修理費50万円
の場合、修理費 > 時価額 となります。
この状態を、経済的全損 といいます。
車の時価額がどう決まるのかは、こちらの記事で詳しく説明しています。
関連記事:交通事故でいう車の「時価額」とは?どうやって決まるの?



でも、50万円かければ修理できるんですよね。それでも全損なんですか?



はい。修理できるかどうかではなく、修理費が車の時価額を上回っているため『経済的全損』になります。
② 修理そのものができない全損
事故による損傷が大きく、技術的に修理できない場合の全損です。


「経済的全損」と「分損」は何が違う?
分損
修理費が時価額の範囲内
→ 修理費をもとに車両損害を考える
経済的全損
修理費が時価額を上回る
→ 時価額をもとに車両損害を考える
💡100:0事故でも「全損」になることはある
100:0は「事故の責任割合」の話です。
一方、全損かどうかは「車の損害をどう評価するか」という話なので、100:0事故でも経済的全損になることがあります。
経済的全損でも修理することはできる?
経済的全損は「修理禁止」という意味ではありません。
修理を希望すること自体はできます。
ただし、相手に請求できる車両本体の損害は時価額を基準に考えるため、時価額を超える修理費をどうするかが問題になります。
そして、
相手側の保険に、時価額を超える修理費に対応する特約が付いていて、条件を満たす場合などは、超過分が補償されることもあります。
全損になったあとに「修理する」「買い替える」など、どんな選択肢があるのかは次の記事で詳しく解説します。
まとめ
次の3点をおさえましょう。
- 全損=必ず修理不能ではない
- 修理費 > 時価額なら「経済的全損」
- 修理そのものができない全損もある
「全損です」と聞くと、車をもう直せない、すぐに手放さなければいけない、と感じるかもしれません。
でも、経済的全損は「修理できない」「必ず車を手放す」という意味ではありません。
まずは、説明された修理費と時価額を整理して、そのうえで修理するのか、買い替えるのかを考えていきましょう。
全損になったあとの選択肢については、次の記事で詳しく解説予定です。








